人生をより良くする方法⑳目の動き

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眼球運動は嘘がつけない。何かを思い出そうとすると、眼球は上を向く。嘘を付こうとすると、下を向く。何か都合の悪いことを思いついたときは、目を左右にそらす。不安状態では、きょろきょろとあたりを見回す。つまり、精神が不安定になると、相手の目をじっと見ることができなくなるのだ。動物はお互いに目があったとき、先に目をそらした方が負けである。だから猛獣に襲われたとき、絶対に目をそらしてはいけない。じっと睨みつけてやりながら、少しずつ下がるのだ。

カテコールアミンが分泌し、交感神経が優位になると興奮したり、怒りを感じる。このとき瞳孔は散大する。逆にアセチルコリンが分泌し、副交感神経が優位になると恐怖を感じたり、失意に落ち込んだり、悲しみを感じる。このとき、瞳孔は縮小する。ちなみに意識が清明なのに瞳孔がピンポイントまで縮小することなどありえず、サリンのようなコリン系農薬中毒に見られる症状なので覚えておくとよい。さて認知症の患者では瞳孔はどのように動くのだろうか。瞳孔が散大していなければ本当に興奮しているのではなく、怒っているわけではない。むしろ高齢者の瞳孔は常に小さめである。小さいままなのは、今の環境に満足していないのかもしれない。楽しい状態を作り出せば、瞳孔は少し大きくなるだろう。

他人との交渉事では、先に視線をそらした方が負けだ。猛獣に出くわしたときも決して視線をそらさず、睨みつけながら後ずさりする。目をそらすのは、自分の負けを認めること自分の弱さを認めることになる。
自閉症の子供は、友達の目を見て話すことができない。大人から目をそらす。これは心理的に怯えているからだ。相手への恐怖心を感じている。自分を警戒の目で見る者と打ち解けることはできない。だから子供はそんな目をする者と嫌う。大人から見ても、かわいげがないと感じる。認知症のせん妄状態にあるとき、決して視線を合わせようとしない。しかし依存記に入ると、今度はじっと見つめてくる。前頭側頭型認知症の人は、常に他人と視線を合わせない傾向がある。他人と視線を長く合わせられるようになることは、かなり改善したことを表す。逆にレビー小体型認知症の人はじっと見つめる傾向がある。無意識のうちに助けを求めているだろう。

瞬きは眼球結膜表面の湿潤を保つためだけに行うのではない。目を潤すだけなら1分間に3回も瞬けば十分である。瞬きには、「入力情報を遮断したい」という潜在意識がこめられている。もうこれ以上見たくない。聞きたくない、関わりたくない、逃げ出したい、と思う時、人は瞬きを盛んにする。逆にもっと見たい、聞きたい、関わりたいと思うときには、瞬きを忘れる。他人の瞬きを見ると、不安が伝染する。瞬きせずにじっと見つめられると、人は好感を持つ。

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